【社長向け】1分コラム
【社長向け】1分コラム
作成日:2021/10/30
5人の社労士事務所と5千人のスーパー



会議前の雑談で●×スーパー取締役から聞かれました。

 「齋藤さん、何かもっと儲かる商売ってありますかね?」。

「●×スーパー」は、
TVでもたびたび取り上げられ、コストコと並びコアなファンが多く、業績もうなぎ昇りです。

 昨年も数十店舗を開店して、当社ではもうすぐ100店舗となります。

 大繁盛しています。

 “はて、もっと儲かる商売か?” 

その時は、「何をおっしゃいます。あれだけ●×スーパーが儲かっているのだから欲張りすぎない方が良いですよ」

 と軽口をたたいて終わりました。

 

“売上が数百億、経常利益率が3%の商売かぁー。

 経営層、執行役員、事業部長、管理職、担当者、現場スタッフ。

 数千人の大人が、毎日、「あーでもない、こーでもない」と言って知恵を絞り、汗を流した結果。

 100円の商品を売って、3円の儲け。これって儲かっているといえるのか?”

 

 現代社会では、優秀でなくとも、生き残ることが比較的簡単にできます。
 
 正確に申し上げますと、“人類の歴史の大部分と比べて、ここ数百年は”というお話です。

 (これ以後は、ここ数百年=現代。それ以前=昔。大雑把に表記させていただきます。)

「現代は競争社会で、ストレスにさらされ過酷ではないか」とイメージされがちですが生死というレベルに関しては間違いです。

 現に私達のような「優秀でない人々」が普通に生活する事が可能だからです。

 
 昔は(特に農業史以前)では、「全方向の優秀さ。万能であること」が生存するために求められていました。

 肉体の強靭さ、五感の鋭さ、危険を察知する能力、回避する能力。

 狩を行い、食糧を確保、保存、管理消費する能力、住居、衣服、履物、生活必需品を作り出す能力。

 集団内で生き残る能力。

 あらゆる生活場面で、能力・技術が無ければ生き残る事自体が難しかったといえます。


 それに比べて現代は分業が進み、獲物を捕まえられなくとも、誰かが作ってくれたくれたお肉、お米を食べる事が出来ます。

 誰かが作ってくれた住居に住み、靴を履き、服を着て生きていくことができます。

 まさに「愚者が生き残れる世界」なのです。



 医者、弁護士、パイロットなど優秀な人たちとイメージされる職業ですら「愚者の生き残り戦略」といえます。

 ある狭い範囲の分野に関しての技術だけで生きている事は、どの職業、職種ともまったく同じであるといえます。
 

 


では実際の業種毎の経常利益率(儲かり効率、儲かり具合?)を見ていきましょう。
 

日本標準産業分類:大分類         経常利益率
学術研究、専門・技術サービス業    13.82%
不動産業・物品賃貸業         7.63%
情報通信業   5.36%
建設業     4.83%
製造業        4.14%
サービス業(他に分類されないもの)  3.98%
生活関連サービス業・娯楽業     3.45%
運輸業・郵便業    3.10%
卸売業 1.86%
宿泊業・飲食サービス業          1.55%  
小売業   1.49%

(参照元は「
e-Stat 政府統計の総合窓口:
中小企業実態基本調査
令和2年確報(令和元年決算実績)2021729日」)



 圧倒的に、「学術研究、専門・技術サービス」は効率よく稼いでいることがわかります。

「学術研究、専門・技術サービス」とはどんな仕事でしょうか。

 いわゆる専門サービス業=デザイン、設計、小説家、弁護士、税理士、興信所、研究所

 そして私達社労士事務所などです。


 一言で言い表すことは難しいですが、おおざっぱに特徴を捉えると、「知識集約型」の商売です。

 それに対して、経常利益率が低い業種は、「資本集約型」である傾向がみられます。
 
 小売の代表的なスーパーなどを考えると、大型店舗を構え、多くの従業員を雇用し、店内バックヤード設備(冷蔵庫、配送設備、調理設備)など想像以上に大きな設備が必要となります。

 小ぶりな●×スーパーでも一店舗出店で約2億の投資計画となりなります。

 
 私は、最も経常利益率の低い「小売り業」と最も高い「社労士事務所」両方の経営に携わっています。

 結論から申し上げますと、「大変さ、困難度」はどちらも同じです。

 「5人の社労士事務所」も「5千人のスーパー」も毎日、失敗し、お客様に怒られ、改善しよう努力し、少し感謝を頂き。また失敗し、また努力し、少し感謝を頂き。

 毎日七転八倒して、毎夜、仕事の夢にうなされています。たぶん。


 利益率が高かろうが、低かろうが数億の利益額だろうが、数百万の利益だろうが結果でしかありません。

 その「より良くなりたい」ともがくプロセスが最高の「意義」であるように感じています。


 なぜなら、「人嫌い、無愛想、友人は3人。」の私。

 昔このような「優秀でない者」は生きていくことができなかったはず。

 「愚者」として「失敗、努力、すこし感謝をいただくこと」が、今 神様から生かしていただく条件
(意義)ではないかと自分に言い聞かせている毎日です。

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