令和2年の精神疾患による労災申請数2051件、認定数608件となりました。
10年前(平成21年)は、精神疾患による労災申請数1,136件、認定数234件でした。
申請数は、約2倍、認定数は2.6倍と増加しています。
この10年間で、日本の会社の労働強度が高くなったのでしょうか。
上司が狂暴化してパワハラ、セクハラが突然増加したんのでしょうか。
近年の調査結果から、社員のレジリエンス低下も関係があると考えられています。
レジリエンス(resilience)とは、「回復力」「弾性(しなやかさ)」を意味する英単語です。
「レジリエントな」と形容される人物は、困難な問題、危機的な状況、ストレスといった要素に遭遇しても、すぐに立ち直ることができます。
もともとは物体の弾性を表す言葉ですが、それが心の回復力(精神的な強さの指標のひとつ)を説明するものとして使われるようになりました。
レジリエンスは、教育、経験など多くは後天的に身につくものと考えられています。
若い時期に困難な状況を乗り越える経験、ハードルの高い目標を達成する経験、海外や上場企業での労働など強度、困難度が高い経験がレジリエンスを高めるのです。
また、環境要因とも因果関係があります。
複数かつ多様な関係性を持っている事や、友人・家族などとの良好な関係性を持っている事も高いレジリエンスに影響を与えます。
そしてもっとも重要なのは「価値観(考え方)」がレジリエンスを決定付けること。
認知行動療法などで知られている「ABC理論」をご存知でしょうか。
元々、物事には意味はありません。例えば、「雨が降っている」事には意味はありません。
「嬉しい、恵の雨だ」、「初日に雨が降るなんついていない」など意味付けしているのは各人の「価値観(捉え方)」なのです。
それによって結果(反応)が変わってくるという概念です
人間の能力、受信能力、感受性には差異があります。
しかしそれよりも重要なのは「価値観(考え方、捉え方)、によって反応(結果)が異なることです。
同じできごとを体験しても、悲観的な人は「悲惨さ、否定的」認知し悲観的な反応をする。
その一方で、ポジティブな人は「前向きな捉え方」をして行動をする。
つまり認知の違いによって「人生は天国にでも、地獄にでもなる」と言われている所以です。
2022年4月1日から中小企業も「パワハラ防止法」がスタートします。
法令解釈としてどこからが「セクハラ、パワハラ」なのかとのご質問を良くいただきます。
厚労省のQ&Aでは、「当事者が不快を感じた時点で、ハラスメント」となるとのこと。全くナンセンスな答えです。
そもそも、個体ごとに能力、感受性、価値観が異なり、レジリエンスも違うなかで、「同じ事柄を見ても、天国と感じる人も、地獄と感じる人もいる」訳です。
法律的なラインをひけるわけがありません。
社長様から、最近の社員は、「ちょっと注意したくらいで、来なくなってしまう。」「会社を辞めたら困るから注意できない」などのお話もよく聞きます。
セクハラ、パワハラの法律解釈より、遠慮せずに経営者としてより良い志(夢)を語り、遠慮せずに良い仕事に感謝して、良くない仕事は注意する。
当たり前のことを遠慮せず行う。世界は鏡です。「良い考えをして、良い言葉を使って、良い行動をする」ことは、世界を変えます。
尊敬できる経営者との出会いや、より良いお客様からのオファー、より良いお付き合いが始まります。
そして良い価値観に合わない人達は自然と去ってゆくものです。