この春、長男が高校に合格しました。
本当に全く勉強する姿を見せず、読書(ファンタ―ジーとSFのみ)とゲーム三昧。
試験日前の日曜日、アピタのゲーセンに一日中行っていました。
私と妻は、「本人の人生だ。就職でもしょうがないね」と覚悟していました。
「ハンカチ持った? 宿題やった?」、「歯を磨いて」あれやこれやと、妻が長男の世話を焼いてきました。
子どもがつまずかぬよう、転ばぬように。ついつい手と口が出てしまう気持ちはよくわかります。
人は体が「傷つく」と、出血を少なくするために血管を収縮させ、「炎症反応」が始まり、怪我を治し、身体を修復していきます。
指を切ったらその周辺は赤く熱を持ち、転んで膝を擦りむいたらジュクジュク体液が染み出し痛み続ける。
これが「炎症反応」です。この「炎症反応」が体の免疫システムのスイッチを入れ、身体の修復・強化を進めると考えられています。
このように「ストレス」が身体や精神に少しのダメージを与えることによって、身体、精神を修復・強化する事象が知られています。
この生命機構を「ホルミシス」といいます。
ワークライフバランス、同一労働同一賃金、有給5日義務化。
セクハラ、パワハラ防止。一見、労働者を守り労働者の為になりそうな言葉、正しそうに見えます。
でもここまで、労働者って守られなければならない、か弱い存在だったのでしょうか。
卵かニワトリか。
法によってストレスから隔離され、守られた労働者は、どんどん虚弱体質になり、日本の労働者の仕事に対する意欲は、世界139か国中132位と最下位クラス。(出典:米ギャロップ社「社員のエンゲージメント調査」)
意欲ある社員はわずか6%。就業者ひとり当たり労働生産性は81,183ドル(824万円)、OECD加盟37カ国中26位。先進7か国では最下位。
「同一労働同一賃金」といっても、求人職種の職務遂行能力を持たない人たちが応募し、入社してからOJT、OFF-JTでお給料をもらいながら、勉強させてもらい仕事を覚えていく。
これが日本の労働実態です。
「痛み、ストレス」を減らしていった結果、身体も心もひ弱になってしまったように見えてしまいます。
ストレスや痛みは決して悪いことだけではありません。
どんなにネガティブな体験であっても成長の糧にできるのは、人間の生命に組み込まれた柔軟さ、すばらしさであるとを私は信じています。
私と妻は、先日約束しました。
長男の高校生活では、つまずいても、転んでも、できるだけ手を出さない、「ホルミシス」が働くであろうと信じて。
痛み無くして得るものは無い ―ロバート・へリック(17世紀の英国の詩人)