「齋藤先生、最近の情勢はどうですか?」
最近行く先々で経営者の方から質問を受けます。
売上10億〜100億の小中規模、地元の名士と言われる会社が多いです。
上場企業は、情報収集、分析、決定を3月末には行っていました。
中小企業は、情報収集・分析等に劣り、地元企業は未だ迷走している感じがあります。
話をお聞きすると、「どこまで、何をしていいのかわからない。教えて欲しい。他社はどんなことをしているのか。国が明確に指示してくれないと動きようがない」という内容が多く、正直言葉に詰まります。
「それが、経営者の仕事でしょう」と心で思って、言えません。
「自ら情報収集する、分析する、決定する」にコストを掛けられないのは致命的です。
有事には、専門性の有無やリスク対応の遅れが明暗を分けると強く感じます。
新型コロナの影響下、全国的に
失業率は 【1月】2.1%⇒ 【3月】2.4%
求人倍率 【1月】2.1倍⇒ 【3月】1.6倍
と増加しています。
各企業の倒産、廃業、雇用調整が始まり、失業者が増加しつつあります。
失業率と求人倍率は経済の動向を示す、先行指標です。
詳細は省きますが、当社の分析では6%程度まで失業率上昇→就業者の平均年収減少(100万円程度減少)→デフレ→倒産、廃業増加(倒産2万社弱、廃業5万社程度)などが数年続くことはかなり確度が高いと考えています。
しかし県央地区の業種によっては、まだ経済失速を実感していない企業も多いように感じます。
宿泊業、飲食業は3月末から、小売り(商業施設内等)、学習支援等は4月から。
製造業は、5月から増加。
製造業でも、一般の耐久消費財関連(車や家電製品など)は比較的早く、BtoBの長期プロジェクト製品などはまだといった具合で、業種、業態によって温度差が出てきています。
しかし嬉しいことに顧問先の社長様から
「融資申し込みをしました」
「当座貸越枠を増額しました」
「平時には考えなかった、1年から3年といったスパンでの固定費や売り上げ予測、資金繰りなどを真剣に考えるきっかけになった」
という声を頂くようになってきました。
私が役員をしている上場企業は、今期決算、大きな利益上振れとなる予定です。
しかしまったく喜びはありません。
数十億の利益上振れでも、手元流動性比率を大きく上げるために全力で動いています。
なぜなら、経済先行きと未通しが不透明であるからです。
「わからないから、やらない、他社がまだやっていないからやらない」は経営ではありません。
わからないから、「最大限できる、リスク対策する」をして行きましょう。
ハンドルの付いていないバスに、従業員を乗せて運転し続けるなんて考えただけで、ぞっとするじゃないですか。