「いつも塩対応のA社の事務員Bさんが、今日はとっても親切な対応でした。一年担当してきて初めてでした。うれしかったです」
当社、法人担当の職員が朝礼の時に話してくれました。
そのA社の古参の事務員Bさんとの最初の出会いを、私は印象深く覚えています。
今から15年ほど前、開業当時、初めて会社にご挨拶に行った時のことです。
社長さんとの挨拶が終わり立とうとした際、「持って行って」と言いながら、2,3メート先から私の方に書類を投げたのです。
衝撃でした! 社長様は渋い表情になりましたが、特にBさんの言動を注意する事はありませんでした。
私たちが一緒に仕事をさせていただいている会社様は、多種多様です。
創業初年度から100周年を迎えられた企業様、従業員数1名から1,000名超まで。
売り上げも数千万から数百億円まで。
しかし、私たちは企業規模、創業年数、売上高の違いがあっても、常に相手に対して敬意を忘れず真摯な対応をしようと心がけています。
前述したA社の事務員Bさんの行動に、私は驚くと同時に怒りを感じたのを覚えています。
自分のことを馬鹿にされた、自分を否定されたように感じたからです。
相手にしてみれば、わたくしは開業したての若造、こちらはお金を払っている側であるという思いもあり、このような扱いをするのは普通のことだったのかもしれません。
そして当初は同じような場面を幾つか体験しました。
みじめで嫌な気分になり、その怒りを上手く処理できず、怒りで返してしまった時期もありました。
もちろん喧嘩となり、契約解除、顧問先を失いました。
リッツカールトンの高野登さんが「リッツカールトンのクレド」について書かれた本を読んで感銘を受けました。
そしてすぐにリッツカールトン大坂に泊まり、従業員の方(ホテルマン)に根掘り葉掘りお話を聞いてきました。
リッツカールトンのクレドには、「お客様に最高のサービスを提供するには、自らが最高の紳士、淑女であらねばならない」(齋藤要約)と書かれています。
当時この言葉が私の考え方を大きく変えました。
「相手がどういう態度を取ったとしても、自分自身はプロフェッショナルであろう」と心が決まりました。
それからは、驚くような対応を見ても、冷静に対応できるようになったと思います。
自分の気持ちは、相手が問題ではなく、自分自身の問題であることがわかったからです。
そして、そういうプロフェッショナルな会社にしていこうと決めました。
当社の職員、まだ26歳、入社2年目のナイスガイです。
相手の塩対応でも、全く動じず。
逆に相手の少しの良い部分を見つけてあげる器量の大きさに、私は本当に嬉しく感じています。
間違いは謝り、相手の非を責めず、私たち自身がプロフェッショナルとして行動することを大切に、真摯に続けていきたいと思います。