先月号で、「ワーク・ライフ・バランス(WLB)が大切‼ 企業が率先して、労働者の働き方を変えましょう」といった論調を政府が推進していることはナンセンスであるとお伝えしました。
労働者を未熟な子どもとみなしているのも問題ですが、そもそも、「ワーク・ライフ・バランス(WLB)」では、政府の掲げる、労働生産性向上とGDP成長を達成することができないからです。
人間の欲求、モチベーションは各人ごと異なります。
よく知られている、マズローの5段階の欲求モデルで考えると、理想を実現するなど志をもっているなど、より高次の欲求を持った人から、自分の身の回りだけはしっかりしておきたい、損得勘定、物質欲などの低次元欲求の人まで5段階に分類されています。
そしていわゆる、「ワーク・ライフ・バランス(WLB)」を重視する欲求レベルは、自身の周辺だけはしっかりしておきたい、損得勘定、物質欲を基本とした低次の欲求レベルに属します。
従来は高次欲求を持った人ほど、ハイパフォーマンスを示すことが知られているため、低次欲求の層は生産性も低く敬遠されがちでした。
労働力人口の減少、求人倍率の高止まりなどから、地方の零細企業が優秀な人材だけを採用することは現実的に困難です。
採用戦略として、より低次欲求しか持っていない層を採用して、定着してもらう戦略に舵を切るのがベターな選択となります。
つまり従来敬遠されがちであった、身近な周辺事項に興味の大半があり、損得勘定がモチベーションになる、いわゆる「マイルドヤンキー」層を採用の中核として、戦力化するということです。
但し、企画、創造など高度な業務ではではなく、きちんとルーティーン業務を普通にしてもらう工夫が必要となります。
そしてここで重要なポイントとなるのは、不適格者を採用しないことです。
不適格者とは、組織に損害を与える人物です。
本人だけでなく、周辺の普通の労働者も感化し職場を壊していきます。
脳神経学者の中野信子教授の研究でも明らかになってきていますが、人口の約4%〜10%程度に反社会的性質を持った人たちが存在します。
このような不適格者を採用しないのです。
多少能力不足であっても許容範囲として採用しなければなりませんが、組織にダメージを与える不適格者を会社に入れることだけは許さない。
こうすることで、企業組織は無用な労務トラブルを回避することができるからです。
企業にダメージを与える、反社会的な行動をとる、不適格者の特徴と見分け方は次号にお伝えします。
作成日:2018/02/01
地方企業の採用戦略