先日妻と、某ミシュランを獲得している坂道のイタリアンで食事をしていました。
私:「あっ、マーちゃん(我が家の奥様)、ハナクソ出ているよ」
妻:「なんでそんなことをここで言うの。もっと場の雰囲気を考えてよ。もう本当に嫌」
―― 私をにらみながら、お手洗いに席を立った ――
妻:「そういうことはね、さりげなく伝えるのがマナーだよ。本当にデリカシ―がない。※□△!%」
私としては、他の人に気づかれる前にきちんと教えて、直した方が気分よく食事ができるのではないかと思い、直言したつもりでしたが、その後数日間冷戦状態は続いたのでした。
「ジャニーズ事務所は、創業者が数十年間に渡って数十人以上の少年たちに対して性加害、レイプを行っていたことを謝罪した」。
約60年程前、1960年代からジャニー喜多川の性加害民事裁判は始まっていました。
1999年の週間文春裁判で最高裁は、喜多川氏の少年達への性加害事実認定を行い、裁判の証人となった被害少年たちは、
「ジャニーさんについていけば有名になれる状況があり、被害を言えるような雰囲気ではなかった」と証言。
マスコミ、報道機関は大人の自主規制と忖度しました。
一般の人々でさえ「ジャニーズ事務所だからしょうがない」という世間の雰囲気を感じました。
オナラもゲップさえしない、キラキラタレントたち(すべてが素晴らしい)の事務所だから悪いことなんかするはずがないと盲信し、次々にアイドルをヒットさせるカリスマ、喜多川氏の絶大な力が、そういう空気感を作り出し、暗部を見えないものにしていたのでしょう。
A社長:「先生、納期対応で忙しい日に、従業員さんに有給休暇を取られると困ってしまうんですよ。でもこれ
は法律だから取らないで、とも言えない。どうしたらいいんでしょうか」
齋藤:「それはA社長、今のご時世では言いにくいですよね。“有給取らないで”なんて言うと“ブラック企業
だ”なんて、すぐレッテルを貼られるような世の中の空気感がありますよね」
A社長:「今は、仕事で注意しても“パワハラ”だなんだと言われるような社会の雰囲気だよ」
齋藤:「A社長、有給休暇の件は、きちんと従業員さんに伝えるべきですよ。その日は納期対応で忙しいから
有給休暇は取れない」と言うべきです。
A社長:「有給休暇は権利だから、取らせないのは違法だとか、ブラックだとか言われるのが嫌なんですよ」
齋藤:「そもそも、権利を主張するのであれば、義務を果たすことも言うべきですよ。会社運営をすることが社
長の仕事ですから、運営を危うくすることを許すのはダメです」
A社長:「言うと雰囲気が悪くなるじゃない。嫌われたくないんだよね」
齋藤:「大丈夫です。社長はジャニーズタレントではないので、嫌われても問題ありません。ハナクソが出ていて
も、オナラしても、誰も気にしません。いや、“汚い、クサイ”と思われるだけで、誰も傷つくことはありませ
ん」
A社長:「いやちょっと傷つくんだけど」
齋藤:「社長は嫌われている位がちょうどいいんです。絶対ダメなのは、事業運営を危険にすること。経営状
態を悪くすることはダメです。経営状態を向上させるために雇用しているのに、雇用した社員さんがそ
れに反する行動を取るなんて、それこそ本末転倒ですよ。納期遅延したら、信用と取引を失い、結局
は他の社員さんの仕事、生活を危険にさらすことになるんですよ」
雰囲気や空気感はとっても大切なこともあります。
「言う」「言わない」の分水嶺、線引きはどうすべきなのでしょうか。みなさんはどのようにお考えですか。
何となくの空気感で、多数派につくことは多いですもんね。
私は「鼻くそ事件」以来、空気の読み方ルールを決めました。
@放っておく(言わない)と私の大切な人を傷つけることはしっかり「言う」
A放っておいても(言わなくても)だれもあんまり傷つかないことは「言わない」
Bそのうえで、その行動は「大局を見た」ものとなっているかどうかで最終決定する
社長も社員も「汚い、クサイ」はお互い様ですから、我慢しましょう。